キャベツウニの養殖までのルーツと今後の活躍への期待!

高級食材のウニですが実はキャベツで養殖されているのをご存知でしょうか?
今回はキャベツウニのそれまでのルーツや今後の展開の予想などをご紹介します!

高級食材のウニ

ウニといえば言わずと知れた高級食材の一つですね。
濃厚でお寿司屋さんでも人気のネタですし、
パスタソースにも使われ日本だけでなく海外でも食されています。

 

普段私たちが食べているのは
黄色~鮮やかなオレンジ色をしていて、
いがぐりのようなトゲトゲの殻の内側に張り付いている部分です。
これはウニの生殖巣というもので、
いわゆる卵巣や精巣です。

 

ウニは外見上の違いはなくオスとメスを見分けるのは
困難だと言われています。
殻を割って中身を見ても違いはほとんどありません。
メスの方が濃いオレンジ色をしていると言われていますが、
季節によっても変わります。
そのため、一般的に卵巣や精巣の区別なく販売されています。

駆除対象となっているムラサキウニ

高級食材として人気の高いウニですが、
日本でとれるウニの中でも海藻などを食い荒らし
食害をもたらすとして駆除対象になっている種類もあります。
ウニのえさとなる海藻などが育つ岩場はウニだけでなく
稚魚や幼魚の育つ場所でもあり、
外敵の目から逃れるための隠れ家でもあります。

 

しかし近年、海水温の上昇によってウニの生息域が広がり
活動的になることで必要とするえさの量が増えることが危惧されています。
ウニは豊富な海洋資源をもたらす海藻を根こそぎ食べ、
岩肌をむき出しにしてしまいます。

 

これを「磯焼け」と呼びます。磯焼けが生じると、
産卵場所や隠れ家を失くした生物も減少します。
たとえばサザエやアワビなどです。
また、海藻は一度全滅してしまうと、
陸上の植物とは違い再生するのが難しいと言われています。

 

えさを食べ尽くしたウニは身の入りが悪くなり、
食材となる生殖巣が少ないため売り物にもならず
悪循環となる事態が起きているのです。
この磯焼け対策として水産庁はウニの駆除を掲げ、
中でも大量発生しているムラサキウニは
海中で叩き潰すなどして駆除されてきました。

画期的な取り組み「キャベツウニ」

駆除の対象となっている厄介者・ムラサキウニは大きいため、
身入りを改善すれば食用としての利用が期待できます。
神奈川県三浦市にある神奈川県水産技術センターでは
ムラサキウニが雑食性である特性に着目し、
様々な食品を与えて観察しました。

 

その結果、中でもキャベツをよく食べることがわかりました。
食用とされる生殖巣が肥大するのは4~6月で、
偶然入手できたのがキャベツだったことがこの発見につながりました。
この時期にキャベツを与えることで
美味しいウニに成長するということが分かったのです。

 

一般的にウニの養殖場では昆布をえさとして与えています。
しかし、与え続けていると食べ飽きて食べなくなってしまいます。
そのため、間に違うえさを与えて再び昆布を与えるといいます。
一方「キャベツウニ」はキャベツを食べ続け、
食べ飽きることがありませんでした。

 

調べたところ天然のウニよりも甘味成分が多いことが分かり、
食用として販売するための身入り率10%を超えていました。
キャベツは天然のウニが本来えさとしている海藻とは違い、
生臭さの原因になるにおい成分を持った脂を含んでいません。
そのため天然のウニと比べて臭みや苦みがなく、
甘くて美味しいウニの養殖ができるようになりました。

今後は世界に広がるかもしれない「キャベツウニ」

キャベツウニは海外のテレビ番組でも取り上げられ、
外国からの問い合わせも増えていると思います。
今や地球温暖化は日本だけの問題ではなく、
世界的な課題となっています。

とりわけ赤道直下は影響が大きく、
エルニーニョ現象によって海水温が上昇しメキシコ湾では磯焼けが深刻です。
そして日本と同じくメキシコ湾に生息している
ウニも身が入っていないといいます。
キャベツウニの研究は世界的にも需要が高く、
今後は世界的に広がっていくと考えられるのです。

 

きっかけとなったのは2017年4月に神奈川県水産技術センターより
キャベツウニについての記者発表がされたことです。
2週間後には朝日新聞の取材が行われ、
5月には小さな記事ではありましたが全国区にのりました。

 

その記事を見た別の担当者がデジタル版で大きく取り上げ、
次の日にはYahoo!ニュースのTOPに掲載されました。
それを皮切りに連日取材の依頼が舞い込むこととなり、
最初の3か月間のうちに1000件程の問い合わせがあったといいます。

 

問い合わせのほとんどは意外にも、
水産関係者からではなく異業種からでした。
たとえば、自動車部品工場では倉庫の空きスペースや、
建築業ではコンクリートの構造物の余剰部分などといった
デッドスペースがあります。
これを有効活用し副業として
キャベツウニの養殖ができないかと考えた人が多かったようです。

「キャベツウニ」は温暖化やごみ問題の解決の糸口?

ウニの養殖においては一般的に
えさとなる昆布などの海藻を購入しています。
えさの購入は非常にコストがかかっています。
しかし、キャベツウニのキャベツのように
廃棄野菜を有効活用することで
コスト削減につながる上、
地元の名産で育ったウニとして全国各地のブランドとして
売り出すこともできます。

 

山口県では地元で育った
ミニトマトやアスパラガスを活用してウニの養殖を始めました。
キャベツウニの情報はオープンにされているため、
今後は山口県のように地元の特産品や
廃棄野菜を活用したウニの養殖は広がっていくと考えられます。
廃棄野菜が減ることで、
ごみ問題や温暖化に対応していく足がかりにもなるでしょう。

おすすめの記事