底引き漁で獲れる日本海の魚たちについて紹介していきます。
名前の分からない魚もいますが覚えている限り全部紹介しようと思います。
漁期について
底引き漁の漁期は九月から五月いっぱいまでの九ヶ月間でした。
私が現役の頃の話ですので今はどうか分かりませんがおそらく変わっていないことでしょう。
お正月休みが約四日くらいあったと思います。
漁期以外では八月にある海底掃除に二週間航海をするくらいです。
その海底掃除を除く六月から八月いっぱいまでの期間は休漁期となっていて陸で働かない限り全て休みです。
地元の人は休漁期ではなく夏休みという呼び方もしていました。
底引き漁師は海の上での仕事が辛い分、休みも多いのです。
時期別に獲る魚、カニ
漁期に獲れる魚を時期別に紹介します。
・九月、十月
オキギス、カレイ全般、アンコウ、のどぐろ、など
・十一月、十二月
セコガニ(メスの子持ち)、タテガニ(オス)、カレイ全般、など
一月、二月、三月
タテガニ、水ガニ、カレイ全般、ホタルイカ、ハタハタ、エビ
四月、五月
ホタルイカ、ハタハタ、カレイ全般、などなど
簡単に王道の種類だけ挙げてみました。
底引き漁船は漁法はほとんど同じですが網や道具、船を漕ぐスピードを変えることにより獲れる魚も変わってきます。
表層の魚や瀬の状況に応じて船頭が船をコントロールしますので、
魚が獲れるか獲れないかは船頭のテクニックにかかっているともいえます。
漁師の中では○○獲りや○○引きなどの表現をしています。
キス引き、ホタル引き、カニ引き、
アンコウ獲り、のどぐろ獲り、ハタ獲りなど地方によっては異なると思いますが私のいた兵庫県香住港ではこのような呼び方をしていました。
種類が多いけど全部紹介
種類が多くて正式名称も分かりませんが覚えているものを全部紹介してみます。
・カレイ類
ヤマガレイ、マガレイ(アカガレイ)、エテガレイ、ササガレイ
・カニ類
セコガニ、タテガニ、水ガニ、
・エビ類
オニエビ、アカエビ、シロエビ、ドロエビ
・その他魚類
ハタハタ、アンコウ、ドギ(なんとかゲンゲ?)、のどぐろ、アナゴ、タラ、キンキ、ミズダコ、シロイカ、マイカ、コウイカ、ババアダラ、アカバイ、シロバイ、ホタルイカ、
このぐらいだったと思います。
その地方固有の呼び名なんかもありそうなのでひとつひとつ正式名称も調べていこうと思っています。
売れないけど美味しかったもの
漁港の競りで売れないけれども美味しかったものを紹介します。
一番はジーボという生き物の煮付けです。
皮がコリコリしていて中がやわらかくて牛肉のホルモンを食べているかのような食感です。
その生物の正体はイソギンチャクです。
私も始めて見たときはほんとに食べれるのか?と思いましたが、
実際に食べるとすごく美味しかったことに驚きでした。
また手に入れば食べたいと思います。
次に美味しかった売れない魚はミニサイズののどぐろです。
のどぐろは最小のもので別名金魚と呼ばれ売られるのですが、ぎりぎりその金魚に達さないミニサイズののどぐろを刺身にしてよく食べていました。
「小さいなら逃がしてやれよ!」と思いますが、
網にあがった時点でもう死んでますからどうせ捨てるくらいなら食ってしまおうという考えです。
ミニサイズでも味はしっかりしていてそのまんまのどぐろです。
のどぐろ獲りのときはそれもひとつの楽しみだったりしました。
底引き漁はこうして意外と知られていない美味しい魚も獲れたりしますので辛かった反面楽しかった部分もたくさんありました。
何かの参考になれば幸いです。
以上、底引き漁で獲れる魚たちでした。